手術で尿道カテーテルを入れてほしくないときの対処法
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よくある質問, 手術室看護師さん向け, 術後, 麻酔の説明書
のりのり麻酔科医です。
術後の傷の痛みを抑えるのが麻酔科医の使命の一つだと思っていますが、せっかく手術の傷の痛みがおさまっていても、別の辛さを訴えられる患者さんもいます。
その訴えの一つが、尿道にいれるカテーテルの違和感・痛みです(特に男性)。
「尿カテ」「バルーンカテーテル」「フォーリーカテーテル」とも呼ばれるこの管は、
手術中・術後の短期間の使用を目的として膀胱に留置する柔軟なチューブのこといいます。抜けないように先端にバルーン(風船)がついています。
※フォーリーというのは、原型を考案した泌尿器科医のフォーリー先生のお名前だそうです。(関連記事:尿道カテーテルの疑似体験)
麻酔中はご自身でおしっこができないため、このような管を入れることがあるんですが、
条件が整えば入れないで済むこともあるので、ご説明したいと思います。
術前の麻酔の説明のときに、患者さんから「やっぱり・・・尿の管って入れるんですか?」という質問も多く、手術に関わる看護師さんにもおさえておいてほしい話題です。
どんなときにフォーリーを入れるのか?
フォーリーを入れる理由は、
- 全身麻酔や下半身麻酔中で自分でおしっこをだせない
- 尿量が知りたい
- 尿がたまると膀胱が膨らんで手術がしずらいとき
- 前立腺や膀胱の手術のとき
もともとご自分でおしっこが出せる患者さんが手術の時にフォーリーを入れる理由はこんなところです。
全身麻酔中はご自分でおしっこが出せなくなってしまうので、手術が長時間になると膀胱がパンパンになってしまいます。麻酔をおかけしたあとに必要な輸液量によっても変わりますが、ボクは大体2時間を超えるようなら入れてもらってます。
下半身麻酔も麻酔をしてから5時間くらいおしっこがうまく出せないことがあるため、最初からフォーリーを入れる場合が多いです。
また、短時間の手術でも心臓や腎臓が悪い患者さんは輸液量を控えなければいけない場合もあるので、尿量がとても大事になってきます。麻酔中の尿量が輸液量の一つの指標になるからです。
そのため、短時間の手術でもフォーリーを入れてもらう場合もあります。
手術の部位によっては膀胱が膨れていると手術がしずらかったり、膀胱を傷つけてしまう恐れがある場合もフォーリーが必要になります。
前立腺や膀胱の手術は術後にフォーリーを留置する必要がある場合が多いです。
フォーリーを入れて欲しくない時の対処法
「もし可能なら、おしっこの管を入れないですみますか?」と、
まずは主治医の先生か麻酔科の先生に相談してみてください。
とっても言いづらいと思いますが、手術の説明や麻酔の説明のときに「なにか質問はありますか?」と聞かれるはずなので、そのタイミングが言いやすいと思います。
なんと、ただ単に慣習で入れている場合もあるので(その方が安全という理由で)、状況が許せば入れないで済むかもしれません。
術式や手術時間、全身状態によっては入れざるをえないのでご了承ください。
また、麻酔科医としてはフォーリーが入っていた方が全身管理がしやすいので、ダメな場合は申し訳有りませんが安全のためとお考えください・・・(汗)
でも、言ってみるのが第一歩です。術前から心配されている方も多いので、まずは聞いてみてくださいね。
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