【よくある質問】全身麻酔はいつきれますか?
のりのり麻酔科医です。
麻酔科の術前説明に行くと、「全身麻酔はいつきれますか?」という質問をよくいただきます。
この質問には以下のような2つのパターンがあります。
1:いつ目がさめるのか知りたい
2:いつ痛みがでてくるのか知りたい
どちらのパターンにせよ、「全身麻酔薬」というお薬はなく、いくつかのお薬を同時にに使うため、ひとことではお答えできない質問です。
「全身麻酔」のお薬にはいくつか種類があります
「全身麻酔」とひとくちにいうことが多いですが、実際に手術に必要な全身麻酔のお薬は前述の通りいくつもあります。
大きく分けると、
- おやすみいただくお薬(鎮静薬:ちんせいやく)
- 痛み止めのお薬(鎮痛薬:ちんつうやく)
- 筋肉の力を弱めるお薬(筋弛緩薬:きんしかんやく)
っという具合です。
手術が終わって、病室におかえしするときに体に残ってても良いお薬とダメなお薬、条件付きで残ってても良いお薬があり、手術の時間や手術をお受けになる方の状態やそれぞれの麻酔科医の考えがあるのでとても説明が難しいのですが、ボクは自分の担当する麻酔に関しては次のように説明しています。
眠るお薬は手術室で切れます。痛み止めは切れると痛いので体に残します。
Q:全身麻酔はいつ切れますか?
A:全身麻酔にはいくつか種類があって、おやすみいただくお薬・痛み止めのお薬・筋肉の力を弱らせるお薬というのがあります。
全身麻酔を始める時に使うおやすみいただくお薬は10分くらいできれるので、手術中は吸入麻酔薬というおやすみいただくお薬や点滴から別のおやすみいただくお薬を持続的に使うことで目が覚めないようにします。
いまはだいぶお薬が良くなっているので、お休みいただくお薬を使うのをやめると大体15分以内に目が覚めます。お声がけに反応ができて深呼吸や手を握ったりできるようになったらお口の管を抜きます。なので、手術室で目が覚めていることが多いのですが、後で聞くと覚えておらず気がついたら病室だったとおっしゃる方も多いです。
痛み止めのお薬は効きすぎると呼吸が止まってしまうものもあるのですが、完全に切れてしまうと術後痛くなってしまうので、呼吸に影響のないお薬や影響のない量のお薬をお体に残してお帰りいただきます。術後に痛い場合や徐々に痛みが出てきた場合は追加で点滴のお薬や内服薬、座薬が使える場合が多いので申し出てください。
筋肉の力を弱らせるお薬は呼吸を弱くしてしまうので、手術が終わったときにお薬が残っている場合は、お薬の効果をなくす別のお薬を使って安全な状態で病室にお返しいたします。
いろいろな状況があります
手術が終わって眠っていても、気道が確保されて誤嚥の心配がなく呼吸がしっかりしていれば、喉の管を抜いて眠ったまま病室にお返しすることも可能です。この場合は徐々に目を覚まして気がついたら病室ということになります。麻酔科医によってはこの方法を好む人もいます。全身麻酔のやりかた、手術をお受けになる方の状態や術式、病棟がどの程度患者さんをしっかり見ていられるか等が関係します。
長時間の手術では目を覚ますのに30分以上かかることもあります。
術式や病状によってはお休みいただくお薬をやめずに、喉に管が入ったまま集中治療室に移動して治療を継続する場合もあります。
あくまでも一つの例としてボクの説明をご紹介しました。実際のご自身の麻酔については担当の麻酔科医にご確認ください。
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ありがとうございました~!!
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