医師は自分に薬がだせるのか？

のりのり麻酔科医です。

以前、「医師は自分に薬がだせるのか？」というご質問を頂いた事があります。

あんまり深く考えた事はなかったんですが、医師になってからずっと「自分で自分の薬を処方できない」というのをなんとなく知っていました。

誰かに教えてもらったという覚えもないのですが、風邪や持病の薬を処方するときは同僚や友人の診察を受けて処方してもらっていたのです。

では、本当に医師は自分に処方できないのでしょうか？

実はコレ・・・「できる」んです。

ただし、「全額負担の自費診療なら」という条件付きなんですけどね。（※注）

どういうことかというと、

医師が自分で自分の診察をすることを「自己診察（じこしんりょう）」というらしいのですが、

この「自己診療」を保険診療として行うことは認められていないそうなんです。

（これらは、厚生労働大臣が定める「保険診療を行う上で保険医療機関と保険医が遵守すべき事項」→ 療担規則(正式名称 : 保険医療機関及び保険医療養担当規則)に規定されている。）

出典：「保険診療の理解のために（平成24年度医科集団指導用テキスト）」厚生労働省　北海道厚生局

つまり、医師免許を持っていると「保険医」に登録ができ、保険診療をやってよいのですが、 自分の診察や処方は医療保険を使っちゃだめってことなんです。

保険診療＝みんなで払っている保険からまかなっているから、自分がかわいくて仕方のない医師が自分に好きなだけ好きな薬を出したり、不適切で過剰な診療をしたりしないように！！ってことでしょうね。

また、医師が自分の家族や従業員に対して診察し治療を行う事を「自家診療」というのらしいですが、これは加入している医療保険制度の加入者によって扱いがことなるため、保険診療が認められる場合と認められない場合があるようです。

  全額自費なら自己診療できるんだ〜！！じゃあそうしよう！・・・とは全然思わないですね（笑）

手塚治虫さんの漫画の「ブラックジャック」は医師免許をもってないし、保険医じゃありませんが、

いくら自分が名医でも、彼のように自分で自分のお腹を手術したら、保険がきかなくて大変だってことです（笑）

（注）医師法第17条「医師でなければ、医業をしてはならない」という条文から、自らを診察するのは医行為であるが「業」ではないため違法であるという解釈もできるようです。まあ、いずれにしても自己診療はしませんけどね（笑）

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ありがとうございました～！！

※この記事は2013.1.16に旧ブログ「のりのり麻酔科医のブログ」に掲載されたものを一部改編したものです。